壁の穴

私の今の住まいは築35年の平屋の借家です。庭もついていて住み心地はなかなかのものです。お客様との会話でよく出るのが、賃貸なので壁に穴があけられない…というもの。私も小さいときからずっと賃貸住まいですので、その事情よーくわかります。

特にうちの父親は壁の穴はもちろんのこと、床のキズや騒音までに結構気を使う人で、そんな環境で育った私も汚さず綺麗に使うのが普通になってました。そんな私が、古い借家を選んだ理由は「一番リラックスしたい部屋だから、気を使いたくない」というものからでした。

昔の家の柱には、自分の成長を刻んだ柱とか兄弟喧嘩のときにできたキズとか、使い込まれて角が丸くなった柱とか好きな歌手のポスターの跡とか、なんだかホッとする形跡があると思います。それが自分の歴史でもある訳で。

 ですので、ビスの小さな穴が少し開いたくらい(大きすぎるのはどうかど思いますが)自分がそのときに良いと思って開いた穴くらい、想い出との交換で開けてしまってはいけないでしょうか。

あくまでこれは私の考え方ですので強要するつもりはありませんが、他の誰かに見せるわけでもなく、自分だけの空間への贅沢がどれだけ自分に活力を与えてくれることか、そういう気持ちを大切にしてほしいな、と思います。